韓国の税務・会計資料

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March 29, 2021
by swacc

事業報告書の主要点検事項



事業報告書の主要点検事項


 金融監督院が2020 年に財務諸表審査・監理を終結した上場会社は123 社で、審査・監理の結果、63.4%(78社)の会社が会計違反と指摘され、前年比約4.4%増加した。

 審査とは、開示された財務諸表などを検討して発見された特異事項について会社の釈明を聞いた後、会計基準違反事項(過失)の可否を判断する手続き。監理とは、会社が提出した財務諸表および監査人が提出した監査報告書に対して会計基準を遵守したかどうかを検討する業務をいう。

 このような審査監理対象会社の選定は、具体的な容疑が確認された嫌疑審査監理と標本審査監理に区分される。

 標本審査監理時の標本選定基準は、◇経営に関するリスク要因があったり、会計粉飾のリスク要因があったりする企業(危険要素考慮標本選定)◇不景気時に貸し倒れの増加が多いので貸倒引当金を忠実に計上しているかなどといったその時々のテーマなどの会計イシューの存在の有無(テーマ要素考慮標本選定)◇無作為選定――などに区分される。

 20 年の監理審査結果を見ると、嫌疑審査・監理の指摘率は97.7%となっている。標本審査・監理の指摘率は44.3%だった。

 標本審査監理結果を細分してみると、危険要素を考慮して選定した標本審査監理の指摘率(3年平均59.8%)がテーマ(3年平均41.3%)、無作為(3年平均37.5%)より高い水準である。

 これらを見ると、金融監督当局が財務諸表審査監理の際の主要なリスク要素などを継続して発掘し、企業に事前案内する必要があると考えられる。

 今回の審査監理の際には、新外監法の施行(2018 年11 月1日から)とともに強化された会計違反措置基準が適用され、外監法上の課徴金および役員職務停止などの措置が科せられた。今後、意図的な会計粉飾などについては強化された措置基準の適用がさらに増加するものと予想される。

 金融監督院は、上記のように、20 年度の審査監理の結果を発表しながら、21 年度中に実施する事業報告書の重点点検事項の事前予告も発表した。

 主要点検項目としては、財務事項が9項目で、

 1)要約財務情報の記載形式

 2)財務諸表再作成時の再作成事由および財務諸表に及ぼす影響記載の有無

 3)在庫資産

 4)貸倒引当金の現況の開示の有無

 5)監査意見、監査時間、監査・非監査役務の報酬など外部監査制度の運営状況に関する内容の記載の有無

 6)20 事業年度から内部会計管理制度の外部監査の適用対象が資産5,000 億ウォン(約476 億円)以上の上場企業に拡大され、内部会計管理制度の運営・検討報告書だけでなく、監査報告書の提出有無も確認

 7)中核監査制(KAM)が20 事業年度からすべての上場企業(中小企業向け株式市場「コネックス」除く)に全面施行されることにより、新規適用対象に含まれた上場企業(資産1,000 億ウォン未満)を中心に核心監査事項の記載

 8)内部監査機構と外部監査人との間の議論内容の記載

 9)前・当期監査人との意見の不一致に関する調整協議会の開催日、出席者、協議内容および意見の不一致が生じた勘定科目·金額等の記載の可否

 となる。

 非財務項目の重点点検事項としては、◇商法施行令改正関連の定款および配当に関する事項◇登記役員選任候補者および解任対象者の現況◇配当に関する会社の政策◇特例上場企業関連の開示◇直接金融資金の使用◇製薬・バイオ関連の開示の適正性◇他法人出資の現況◇制裁の現況の開示――などがある。

 金融監督院は、事業報告書の提出対象法人2,740社に対し、上記の事前予告の重点点検事項を確認する予定であり、点検結果、記載不備に対しては5月中に会社や監査人に個別通知し、自主的に訂正させるなど、事後管理を行う予定だという。

 提出対象法人は、上記の重点事項を反映して事業報告書を作成・提出することで不利益を予防することができるとともに、投資家にとってはより充実した情報提供を受けることが期待できる。

 

<筆者紹介>

信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。

今回の担当:張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。サンダーバード(Thunderbird)経営大学院でMBA。英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)

 

<出典:NNA ASIA アジア経済ニュース、2021.3.11 https://www.nna.jp/>



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