韓国の税務・会計資料

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July 13, 2023
by swacc

5月、総合所得税申告の月


5月、合所得申告


 2022 年度に総合所得がある個人は23 年5月31日までに総合所得税と個人地方所得税を申告・納付しなければならない。ただし、業種別に22年帰属収入金額が一定規模以上の事業者、すなわち(1)卸・小売業などは15億ウォン(約1億5,300万円)、(2)製造業・飲食業など7億5,000万ウォン、(3)賃貸業・サービス業など5億ウォン以上の事業者は「誠実申告確認対象者」に該当し公認会計士または税理士が作成した誠実申告確認書を添付して6月30日までに申告すれば良い。


 毎年5月になると国税庁は前年度所得があり所得税申告をしなければならない個人や事業者に申告案内状を送る。この案内状は総合所得税申告対象者のタイプを13種類に分類し、その申告対象者の申告タイプに合わせて作成して発送する。その類型を簡単に見てみると、次のようになる。まず、事業者は複式簿記による帳簿作成義務のある事業者と簡便帳簿事業者に大きく区分される。また、複式簿記義務者は売り上げ規模の大きい誠実申告確認対象者(S)、必ず税理士または公認会計士が所得税税務調整をしなければならない外部調整対象者事業者(A)、自らも帳簿を書くことができる事業者(B)、前年度に帳簿を使わずに推計申告した事業者(C)に区分される。これらの事業者が公認会計士または税理士の確認を受けずに申告したり、帳簿を作成したりせずに推計で申告をする場合には、無申告加算税などの不利益がある。


 そして複式簿記による帳簿作成義務者ではないが、簡便な方式で帳簿を作成できる小規模事業者である簡便帳簿事業者がいる。直前年度の売上高が一定規模に該当する事業者(サービス業:2,400万~7,500万ウォン、製造業飲食宿泊業:3,600万~1億5,000万ウォン、卸小売業:6,000万~3億ウォン)はDタイプに該当して簡便帳簿を作成して申告したり、帳簿なしで基準経費率で推計申告したり方法のうち有利な方法で申告すれば良い。Dタイプより規模が小さく、事業所得以外の所得がある事業者はEタイプに該当し、Dタイプより規模が小さく、事業所得だけがある場合に納付する税額があればFタイプ、納付する税額がなければGタイプに該当する。住宅賃貸事業者の中で賃貸所得分離課税を選択した場合には、Vタイプ、国税庁が事前に誠実に申告しろと案内した内容を無視し、きちんと反映していない事業者など納税に留意する必要がある事業者はIタイプに該当する。以上のように事業者の場合には所得税申告類型が10 個に区分される。宗教人の場合、納付税額がある場合にはQタイプで納付税額がない場合にはRタイプに区分され、非事業者として金融所得、勤労所得、年金所得、その他所得などがある場合にはTタイプになって計13個の所得税納付タイプに区分される。


 国税庁が発表した今年の総合所得税案内を見ると、「Moduchaeum Service(すべて書き込みサービス)」を拡大するという。「Moduchaeum Service」とは国税庁で納付(還付)税額をあらかじめ計算して申告案内文を発送し納税者は国税庁から送ってもらった案内文を確認し国税庁が計算した所得税額に異議がなければ簡単に所得税申告ができるサービスだ。今年は勤労所得と他の所得(年金・その他所得)が共にある勤労者などを「Moduchaeum Service」の対象者に追加し、計640万人の納税者に「Moduchaeum Service」を提供するという。総合所得税申告対象人員が約1,000万人余りと推定されるので、申告対象者の約3分の2が「Moduchaeum Service」の恩恵を受けると言える。「Moduchaeum Service」対象は、(1)単純経費率が適用される小規模事業者と(2)事業所得ではない他の所得(勤労・年金・その他所得)が発生した納税者であり、上記の総合所得税申告類型でE、F、Gと小規模賃貸事業者がこれに該当すると言える。今年は小規模自営業者だけでなく勤労所得以外に他の所得がある会社員、住宅賃貸所得者、年金生活者、配達ライダー・代行運転手・看病人など計640万人の納税者に「Moduchaeum Service」を提供するといい、これら対象者はARS電話(1544-9944)1通で手軽に申告を終えることができる。特に、配達ライダー・代行運転手・看病人など人的用役所得者400万人に「ModuchaeumService」還付申告案内文を発送し、約8,230億ウォンの所得税を還付する予定だという。


 これに伴い、今年は配達ライダー、代行運転手、看病人などの所得税申告をあまりしなかった所得者の所得税申告が増加するものと予想されるなど課税標準の陽性化がより一層促進されるものと見られる。総合所得税申告対象者は受け取った総合所得税申告案内文に従って、自分がどのタイプに該当するかを把握し、本人に有利な申告方法に従って申告しなければならない。


<筆者紹介>
信和会計法人は、2003 年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。
今回の担当:張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。英和会計法人(現在、Ernst&Young 韓英会計法人)にて勤務。日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/Email:tichang@swacc.com)


<出典:NNA ASIA アジア経済ニュース、2023.5.11 https://www.nna.jp/>



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