韓国の税務・会計資料

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July 13, 2023
by swacc

海外金融口座の申告


海外金融口座の申告


 国際租税調整に関する法律によると、居住者または内国法人は保有している海外金融口座の残額が5億ウォン(約5,500万円)を超過する場合、その海外金融口座情報を毎年6月に管轄税務署に申告しなければならない。 ここで居住者とは国内に住所を置いたり183日以上居所を置いた個人をいい、内国法人は本店、主事務所または事業の実質的管理場所が国内にある法人をいう。 申告義務者は申告対象年度終了日現在、居住者または内国法人として海外金融会社に口座を保有している者であり、申告対象年度毎月末日のいずれか一日でも海外金融口座に保有している資産金額が5億ウォンを超過した者がこれに該当する。 ただし、外国人居住者として申告対象年度終了日10年前から国内に住所や居所を置いた期間の合計が5年以下の者や在外国民として申告対象年度終了日1年前から国内に居所を置いた期間の合計が183日以下の者は除く。 金融会社、公共機関なども除外対象に該当する。


 6月の申告期限内に申告をしない場合は、申告しなかったり過少申告した金額に対して金額によって10%から20%に該当する過料を賦課する。 また、国税庁が自主把握した納税者の海外金融口座に対して疎明要求をする場合、これに応じない場合にも20%の過料を賦課し、未申告金額が50億ウォンを超過する場合、身元が公開され刑事処罰対象になることもあるので注意しなければならない。


 今年からは海外仮想通貨口座も申告対象の海外金融口座に含まれることにも留意しなければならない。 海外仮想通貨口座とは、仮想通貨取引のために海外仮想通貨事業者に開設した口座をいい、仮想通貨売買のために海外仮想通貨取引所に開設したアカウントはもちろん、仮想通貨保管のために海外ウォレット事業者に開設した財布も含まれることを特に留意しなければならない。 国税庁では海外仮想通貨口座保有者が海外金融口座申告制度を知らず申告できない場合がないように国内5大仮想通貨取引所、国内投資家が多く利用する海外仮想通貨取引所と協議し、海外仮想通貨口座保有者に対する個別案内および仮想通貨取引所ホームページなどに一括公示を通じた案内をした。 海外仮想通貨口座保有者は国税庁および国内·外仮想通貨取引所事業者から個別案内文を受け取った場合はもちろん、受け取らない場合でも申告対象有無を必ず確認して申告し過料負担などの不利益がないようにしなければならないだろう。 現在、金融委員会(金融情報分析院)に仮想通貨事業者として申告された事業者は計36社(27の取引業者、9つのその他の業者)であり、これらは国内仮想通貨事業者に該当する。 これらの事業者ではない外国の仮想通貨取引所など仮想通貨事業者と仮想通貨取引のための口座を開設した場合、他の金融資産と合算して残額が5億ウォンを超過する場合、海外金融口座申告対象になるという点に留意しなければならない。


 国内に居住している駐在員の場合、大部分の場合、海外金融口座申告義務免除者に該当するものと見られるが、5年以上長期居住している駐在員の場合には該当可否をもう一度確認しなければならないだろう。


 国税庁は国家間の情報交換資料、外国為替取引資料、金融情報分析院(FIU)などの他機関からの通報資料、独自収集資料などを深層分析し、海外金融口座未申告の疑いと域外脱税の疑いを検証しており、海外金融口座未申告者に対する重要な資料を情報提供する場合には最高20億ウォンまで褒賞金を支給している。 このように各国課税当局間の情報交換と課税当局自主的な域外脱税検証活動によって海外金融口座が明らかになった場合には、重い過料などの処分と共に同金額に対する脱税有無まで調査するものと予想されるため、申告期限内に申告するのが最も安全な方法だと言える。 過去部分に対する未申告金額が自主的に把握された場合には期限後の申告および修正申告する方法を通じて過料を30%から90%まで軽減されるので、このような制度も利用して損失を減らすことができる。 6月は海外金融口座を申告する月なので、海外金融口座を持っている場合はもう一度該当するかどうかをチェックしてみよう。


<筆者紹介>
信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。
今回の担当:張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)


<出典:NNA ASIA アジア経済ニュース、2023.6.16 https://www.nna.jp/>



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