韓国の税務・会計資料

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November 28, 2023
by swacc

労働組合会計公示と組合費の税額控除


労働組合計公示組合費額控除


 韓国政府は6月、所得税法施行令改正案の立法予告を通じて2024年からは会計決算結果を公示した労働組合に納付した会費だけを組合員が税額控除を受けられる寄付金と認定すると発表した。 すなわち、既存には会計公示可否と関係なく組合員が納付するすべての労働組合費に対して納付額の15%に該当する金額を納付する税額から控除してくれたが、2024年からは決算結果を公示した労働組合に納付した組合費だけを組合員の所得税計算時税額控除対象と認定することにしたのだ。 この間、労働組合の会計は公示対象ではないため、組合幹部による会費の横領、目的外使用などが問題になってきており、これを是正するために今回政府で施行令の改正を通じて改善を試みたのだ。


 だが、9月5日政府は所得税法施行令の再立法予告を通じて2024年から施行することにした労働組合会計公示を3カ月繰り上げて2023年10月から施行することにし、9月26日所得税法を改正した。 これに合わせて労働組合および労働関係調整法施行令を改正し、労働組合の決算結果を公示できる労働組合会計公示システムを導入した。


 会計公示をしようとする労働組合と傘下組織は2023年10月1日から11月30日まで労働組合会計公示システム(https://labor.moel.go.kr/pap) を通じて2022年度決算結果を公示することができる。 組合員が所属した労働組合とその上級団体が全て決算結果を公示すれば組合員が2023年10月~12月に納付した組合費税額控除を受けることができる。9月までに納付した組合費は前年度決算結果の公示可否と関係なく全額税額控除の対象になるので問題にならないが、10月以降は所属労組が会計公示をするかどうかによって組合員の所得税額が変わるため、労働組合では会計公示を敏感に受け止めざるを得ないだろう。 ただし、組合員が1,000人未満の労組では会計公示をしなくても税額控除を受けることができる。 だが、1,000人未満の労組が1,000人以上の上級団体に属している場合、該当上級団体が会計を公示しない場合には該当組合費は税額控除対象から除外される。 すなわち、民主労総·韓国労総など二大労総が会計公示を拒否すれば傘下労組全て控除を受けられなくなる。


 1,000人以下の小規模労働組合だとしても、上位団体で会計公示をしない場合、税額控除対象から排除される問題を巡り、労働界の反発が問題になっている。 この会計公示制度が定着するまでに労働界、使用者団体、政府間の多くの努力と時間が必要と見られる。 組合員の立場では組合の会計が透明で、いつでもその内訳を確認できる組合を選択できるという面では会計公示の妥当性が認められると言い、組合の立場では政府の統制だと受け入れるだろう。 税額控除は国民の税金で補助される側面から見れば会計公示が必要だと言えるが、制度定着までは時間が必要だと見られる。 2023年所得税の年末調整時には改正された組合費税額控除制度により控除を適用するよう注意しなければならない。


<筆者紹介>
信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。
今回の担当:張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)


<出典:NNA ASIA アジア経済ニュース、2023.10.20 https://www.nna.jp/>



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