韓国の税務・会計資料

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January 12, 2024
by swacc

国会企画財政委員会の税法改正案修正議決


国会財政委員法改正案修正議


 国会企画財政委員会は2023年11月30日に所得税法、法人税法など計15の税法改正案を議決した。 9月1日、政府が国会に提出した政府案に対しては前回簡単に説明したが、今回の国会常任委員会の修正議決では政府案と変わった部分がいくつかあり、これに対して簡単に調べることにする。


 外国人技術者に対する所得税を最初の勤労提供日から10年間50%の税額を減免する所得税減免規定(租税特例制限法第18条)の適用期限が23年12月31日で終了する予定だったが、この期限が延長された。 しかし、当初政府案では28年12月31日まで減免規定を適用することにしたが、国会審議の結果、修正議決では26年12月31日までに適用期限が若干短縮された。 また、技術者でない外国人労働者に対しては、国内勤務開始日から20年間非課税減免などの規定を適用せずに19%単一税率を適用する方法と非課税減免などを適用し、総合所得税率(6~45%)適用する方法を選択できるようにする課税特例(租税特例制限法第18条の2)も23年12月31日に終了する予定だったので、この期限も延長された。 しかし、同規定も当初の政府案とは異なり、国会審議の結果、修正議決では28年12月31日から26年12月31日までに適用期限が若干短縮された。


 今回の修正議決で最も目立つ変更点は、機会発展特区(Opportunity & Development Zone)の導入だ。 機会発展特区とは、人口の首都圏集中を抑制し、地域均衡発展を促進するために新政府が導入した政策で、特区に指定された地域に対しては破格の税制優遇と規制撤廃を施行し、これを通じて民間企業の移転と投資を誘導し、地域間の均衡発展を図ることを主な目的とする。 このため、今回の税法改正時の機会発展特区条項が国会審議時に追加されたもので、主な内容は次の通りだ。


 第1に、現在都市に住宅を所有している者が一定基準に該当する農漁村住宅を保有している場合には、都市に所在する既存住宅譲渡時に譲渡所得税特例を適用している。 今回の修正では機会発展特区に所在している住宅も課税特例を適用する農漁村住宅とみなし、機会発展特区の住宅所有者に対しても譲渡所得税特例(租特法:99条の4)を適用するとしてその範囲を拡大した。 都市に住宅を所有している者が機会発展特区に所在するまたは移転する企業所在地に住居地を移転する場合に譲渡所得税不利益を与えないため特例を適用したものとみられる。 従来の特区制度ではなかった譲渡所得税特例を適用することで、相当な特例と言える。 次に機会発展特区内の創業企業に対する税額減免規定を新設した。 すなわち、機会発展特区内で創業または事業場を新設する企業に対しては所得発生課税年度から5年間は100%、その後2年間は50%の所得税または法人税を減免する制度で所得が発生する課税年度から適用するという規定を考慮すれば実効性があるものとみられる。 次に、首都圏で3年以上事業を営んでいた企業が首都圏の事業場を処分し、機会発展特区内の不動産を取得して移転する場合には、既存事業場譲渡にともなう譲渡所得税を機会発展特区内の事業用不動産処分時まで課税を繰り延べる課税特例制度を新設した。 そして機会発展特区の企業に一定比率以上投資するファンドから発生する利子·配当所得は投資金額3億ウォン(約3,320万円)まで10年間9%の税率で分離課税する特例条項も新設した。 このような新設条項を見れば、機会発展特区の企業に資金調達、事業場移転、役職員の居住地移転、事業場運営時の所得税、法人税減免など多様な恩恵を与えることは間違いないが、問題は企業の呼応だ。 事業場の位置決定は単純に税制上の恩恵だけで行われるのではなく、各種規制、職員補充、物流、サプライチェーンなど多様な面を考慮して行われるものであるため、企業の呼応を得るためにはもう少し多く多様な支援策がなければならない。


 与党が国会で少数党である現実で本修正された税法改正案は、国会本会議で最終議決時に再び修正される可能性はあるので、引き続き注視しなければならない。


<筆者紹介>
信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。
今回の担当:張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)


<出典:NNA ASIA アジア経済ニュース、2023.12.14 https://www.nna.jp/>



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