２０２４年度の外部監査契約時留意事項

 2023年も終わり24年が始まった。 12月決算法人が全体法人の90%を超える韓国で、この年末年始は各企業の会計担当部署は年次決算を終えるのに余念がない時期であり、また4万余りの外部監査対象企業は24年度の外部監査契約を新たに締結しなければならない時期でもある。 外部監査人選任手続きに違反した場合には監査人指定などのペナルティーが賦課されるなど不利益がある。 これに対し金融監督院が外部監査人選任時の留意事項を発表した。 ここでは金融監督院の発表資料を中心に監査契約締結時の留意事項などを簡単に調べることにする。

 まず、外部監査対象企業基準を見れば、売り上げまたは資産総額が500億ウォン(約54憶8,700万円)以上の企業は優先的に外部監査対象企業に該当し、資産120億ウォン以上、負債70億ウォン以上、 売り上げ100億ウォン以上、従業員100人以上の4つの基準のうち2つ以上に該当する企業も外部監査対象企業に該当する。 対象企業は前年度と同じだが、選任手続きは会社タイプ別に異なり、特に23年からは大型非上場企業の資産基準が1,000億ウォンから5,000億ウォンに変更され、非上場大企業から除外された会社は新しい基準に従って外部監査人を選任しなければならないだろう。 各会社のタイプは株券上場会社、大型非上場株式会社、非上場株式会社、有限会社に区分でき、各会社のタイプ別に監査人選任制度は異なるため、簡単にタイプ別に監査人選任制度を調べれば次のようだ。

 まず、類型に関係なく、共通事項としては初年度監査の場合に監査人選任期限は事業年度開始日から4カ月以内、継続監査の場合には事業年度開始日から45日以内、監査委員会設置義務企業は事業年度開始日以前に監査人選任しなければならない。

 株券上場法人の場合、登録会計法人（現41社）の中でのみ監査人に選任し、連続3事業年度の間、同一監査人と監査契約を締結·維持しなければならない。 大手非上場会社又は金融会社の場合、会計法人（監査班不可）のみを選任し、連続3事業年度に同一監査人と監査契約を締結·維持しなければならない。 今回、大型非上場法人の基準が1,000億ウォンから5,000億ウォンに上方修正されたことにより、大型非上場法人から外れた企業は変わった基準により、より自由に外部監査人を選任することができるものと見られる。 しかし、事業報告書提出対象法人または公正取引法上、公示対象企業集団(5兆ウォン以上)所属会社、すなわち財閥グループ所属企業は1,000億ウォン基準がそのまま適用されることに注意しなければならない。 大多数の外部監査対象企業が属している非上場株式会社タイプの会社は、初年度監査時4カ月、継続監査時45日基準を遵守しなければならず、この期間が経過して外部監査人を選任する場合には啓導期間が経過したので金融監督機関から外部監査人を指定されることができるという点に留意しなければならない。 有限会社の場合には非上場株式会社と事実上同一であり、会社の監査が外部監査人を選定するが、ただし監査がない場合には会社が選定し、監査がなく資本金10億ウォン以上の場合には社員総会の承認が必要だ。 その他、監査委員会がない株券上場法人、大型非上場株式会社、金融会社は監査人選任時に監査が監査人選任委員会の承認を受けて選定しなければならないということに留意する必要がある。

 年末年始の企業は決算と監査人選任で大変忙しい時期だろうが、変更された会計基準、税法とともに変わった監査人選任基準ももう一度留意しなければならない。


<筆者紹介>
信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。
今回の担当：張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人）にて勤務。日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)


<出典：NNA ASIA アジア経済ニュース、2024.1.11 https://www.nna.jp/>