韓国の税務・会計資料

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April 20, 2020
by swacc

新型コロナウイルスと税政支援



新型コロナウイルスと税政支援



韓国での新型コロナウイルスの感染者数が9,661 人、死亡者数が159 人(2020 年3月30 日現在)で約2週間前と比べて感染伝播速度が低下したものの、小規模な集団感染が発生し続けており、安心できる段階ではないようだ。国税庁も最近、新型コロナの拡散を予防するために現場での税務調査を全面中断し、交代での在宅勤務制度を取り入れ始めた。毎年、約1万件の税務調査が実施されているが、今年は新型コロナの影響でその件数が相当減少すると予想される。 また、世界中に新型コロナが急速に拡大している。この事態は治療剤が開発されるまでは終わりそうもない。このような状況で韓国経済への悪影響も徐々に現れている。

韓国総合株価指数(KOSPI)も2,200 水準から1,500 水準まで下がっており、韓国経済研究院の企業景気実査指数(Business Survey Index)調査の結果を見ると、4月の予測値が59.3 で、世界的な金融危機であった2009 年1月(52.0)以来135 カ月ぶりの低さとなった。産業別にも、旅行業、運送業、金融業、自動車産業などほとんどの産業で悪影響が出ている。新型コロナによって始まった不況が1年余り続くとすれば、経済への影響は途方もないものと予想される。

韓国政府はまず、感染の被害が一番多かった大邱・慶北地域に史上初となる「感染症の特別災難地域」を宣言。その地域の住民の健康保険料や通信費・電気代などの負担を減らし、税制面では法人税の申告納付期限および徴収猶予を最大9カ月延長するほか、税務調査の延期や還付金の早期支払などの支援策を発表した。

これ以外にも、国税庁は追加対策として、職権で法人税のほか付加価値税の納付期限も1カ月延長し、新しい税務調査の全面保留や納付期限、徴収猶予などの税制支援期間も最大2年まで拡大するとした。また、特別災難地域以外の被害納税者が期限延長、徴収猶予などを申請する場合にも積極的に支援する方針も発表した。

最近、経済団体の一つの韓国経営者総協会は、経済危機克服のために法人税率の引き下げと減免を骨子とした税法改正提案を国会に提出した。しかし、いまだ本格的な論議は行われていない状況だ。金融危機時には政府は財政、金融政策に加えて税率の引き下げなどの減税制度を積極的に使用していたが、現在の政府は直接的な現金支援に優先順位を置いており、企業への税制支援には積極的ではない。労働界も韓国経営者総協会の法人税の最高税率の引き下げ提案に反対意見を表明するなど否定的であることも事実だ。

しかし、全世界的な危機に政府だけの対応は限界がある。経済活動に一番中心となる企業を税制面から積極的に支援するのも経済危機の克服と雇用維持に重要な要素になると思われる。近いうちに国会で正式に減税に対して議論されることを期待して見守りたい。 


 


<筆者紹介>
信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。
今回の担当:張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。1963年生まれ。サンダーバード(Thunderbird)経営大学院でMBA取得。1989年~2003年に英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。1994年~1995年に日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)


 


 <出典:NNA ASIA アジア経済ニュース、2020.04.09 https://www.nna.jp/>



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