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July 27, 2020 |
R&D控除の事前審査制度
租税特例制限法第10 条および施行令第9条には研究開発(R&D)活動に対する税額控除条件を規定している。しかし、この研究開発活動に対する租税減免の実務適用において、具体的な条件の解釈に関して国税庁と納税者との間で摩擦があったことも事実である。そこで2019 年に法人税または所得税の申告をする前に支出した費用が研究・人力開発費に該当するかどうかなどに関して国税庁長にあらかじめ審査を要請することができるように租税特例制限法施行令を改正し、2020 年度から施行している。 申請者は内国法人および居住者となっており、外国法人(すなわち支店形態で設立された法人)は除外されるが、現地法人、合弁法人と税法上国内居住者である外国人も申請可能である。申請期限は法人税(所得税)課税標準申告前までで、控除申請の漏れ分は更正請求、修正申告または期限後申告前に申請可能なので、12 月決算法人の場合、来年3月前まで事前審査申請が可能だ。 申請者が研究開発報告書、研究開発費明細書など必要書類を添付し、郵便、ホームタックス、税務署サービスセンターを通じて事前審査を申請すると、国税庁法人税課(研究開発税政支援チーム)で審査を行う。事前審査は、原則として提出書類について書面による検討が行われ、必要があれば現場確認も実施される。 事前審査申請を受け付けると、国税庁では企業のR&D活動が「租税特例制限法」第9条に基づく研究開発の定義に合致するかどうかについて技術検討を行い、企業が支出するR&D活動費用が「租税特例制限法」第9条に規定される費用範囲に含まれるかどうかを検討することになる。その際、費用は既に出費した費用だけではなく、近い将来出費することが客観的な証明書類によって確認できる研究・人力開発費も事前審査対象に含まれる。 審査を受けた内容については、申告内容の確認および減免事後管理の対象から除外され、信義誠実の原則によって審査結果に反する課税処分があっても、過少申告加算税が免除される。 すなわち、事前審査結果によってR&D税額控除を申請した場合、後で税務調査時に控除が否認されても、過少申告加算税は適用されないことになる。結果は事前審査結果通知書を通じて書面で通知され、審査結果について説明するとともにR&Dプロジェクト管理に関するコンサルティングなどの諮問サービスも受けられる。中小企業の場合は、2020 年から施行される制度である中小企業税務コンサルティング制度と共に利用できる制度といえる。 新たに導入された申告前の事前審査制度を通じて、税務上の不確実性を解消することで納税費用なども減らすことができるため、これまで研究開発費税額控除申請時の適用が曖昧だった項目があれば、これについて事前審査を申請することもできるだろう。 <筆者紹介> <出典:NNA ASIA アジア経済ニュース、2020.07.09 https://www.nna.jp/> |
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