韓国の税務・会計資料

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December 22, 2016
by swacc

税法上認めている証憑の具備

法上認めている証憑の具備

 

 【第 回】

 

今回は税法上の費用処理のため適法な証憑の具備について簡単に調べてみます。

 

証憑の具備について単純に思い、購買先から受け取った領収証・取引明細書のみを具備してそれを証憑として費用処理する場合がありますが、税法上では認定されない場合もあり後程税務の調査の折に不利益を受けることもあるので注意しなければなりません。

 

韓国では納税義務のある法人の場合は、法人税法により複式簿記の方式で帳簿を記帳し、帳簿と関連した重要な証憑書類は保存しなければなりません。また帳簿と重要書類の保存期間については法人税法上では取引に対する証明書類を法人税の申告期限の後5年間保管するようにしており、商法上では伝票または類似書類は5年間、商業帳簿と営業に関する重要書類は10年間保管するようにしています。こうした関連規定により、一般的に実務上の 伝票などの書類は5年間、帳簿及び契約書など重要書類は10年間保存しています。もちろん最近は情報通信(IT)技術の発展や保存する費用の減少により電子媒体による帳簿と証憑の保存も認定しています。

 

このように複式簿記の方式による帳簿記帳の基本となる証憑は、税法上認定している種類が制限されており、具体的に列挙しています。適格証憑が具備できなかった場合は、費用として認定されなかったり2/100証憑不備加算税など不利益もあるため、事業者は証憑の具備に留意しなければなりません。

 

韓国の税務行政の中で最も重要な役割を果たす社会的インフラに、付加価値税法上の税金計算書制度、金融実名制、クレジットカード制度があります。そしてそれを反映し税法上認定している証憑には、いわゆる適格証憑というクレジットカードの売出伝票や現金領収証、付加価値税法上の税金計算書、法人税法または所得税法による計算書があります。

 

法人は法人事業者または事業所得者より3万ウォン以上(接待費の場合は1万ウォン以上)の財貨または用役が供給される場合、税務上の費用処理のため取引相手方から適格証憑を受け取らなければなりません。事業者以外の者から財貨を購入する場合は、適格証憑を具備することは出来ませんが相手方が事業者ではないため証憑不備加算税からの問題はありません。

 

韓国の付加価値税制度は前段階買入税額控除の方法を採択しており、付加価値税課税対象の事業者が税務上の費用として認定され購買時に負担した付加価値税を控除されるためには、供給者が発行した税金計算書を必ず3ヶ月に1回税務当局に申告しなければなりません。全ての課税事業者が売出と買入を国税庁に申告しなければならない税金計算書発行制度は、近来の情報通信(IT)の発達により電子税金計算書の発行義務を導入し、電子税金計算書発行と同時に国税庁に自動的に報告されるようになりました。こうした税金計算書は適格証憑となります。

 

農畜産業や教育事業などのような付加価値税の免税事業者から財貨または用役を購入する場合は、税金計算書の代わりに計算書を発行されることになります。このような計算書も適格証憑となります。小売業者や食堂、ホテル、病院など消費者に直接に財貨または用役を供給する事業者は、購買者がクレジットカードで決済する場合、クレジットカード売出伝票を発行することになり、それは適格証憑として認定されます。クレジットカードにはデビットカード(直払カード)やプリペイドカード(先払カード)、外国で発行したクレジットカードが含まれます。クレジットカード会社が毎月通報する月別利用代金明細書やクレジットカード会社ERPが供給するカード使用内訳書を伝送され使用する場合も、利用者や供給者、日付、金額、内訳が分かれば支出証憑書類として認定しています。クレジットカード決済ではなく現金で決済する場合は、購買者の事業者登録番号(事業者)、電話番号(個人)など本人確認の情報が記載された現金領収証が発行されればそれも適格証憑として認定されます。現金領収証制度とは、消費者が現金と共に現金領収証専用カード、カード(積立式カード、クレジットカードなど)、携帯電話番号などを提示すれば加盟店では現金領収証発給装置を通じて現金領収証を発給し、現金決済件別の内訳は国税庁に通報される制度のことです。事業者の場合は、クレジットカード売出伝票または現金領収証の受け取りにより費用としての支出適格証憑として使うことができます。個人の場合は、所得税申告の時にクレジットカードや現金領収証使用金額の一定比率の金額に対して所得控除の恩恵を受けることができます。

 

しかし全ての場合に上記の適格証憑が受け取ることではありません。税法では下記のような場合は適格証憑ではなく領収証などその他証憑書類の受け取りでも証憑として認定しています。

 

国家または地方自治体との取引、邑・面地域の零細事業者(簡易事業者)との取引、銀行など金融機関との取引、農・漁民との直接取引、源泉徴収対象の事業所得を支給する場合、事業の包括譲受譲渡の時、放送用役を提供される場合、電気通信用役を提供される場合、海外で財貨または用役を供給された場合、競売/公売、土地または住宅の売買、住宅の賃貸、タクシー料金の支給、入場券/乗車券などを電算発売システムを通じて購買する場合、航空用役、当初の契約代金ではなく延滞利子の支給、鉄道旅客運送用役など。

 

ところで下記のような適格証憑を受け取ることが出来ない場合には、必ず金融機関を通じて送金を行い、法人税申告の時に経費など送金明細書を提出すれば税務上の費用として認定されることができます。

 

簡易課税事業者から不動産を賃貸する場合、個人から賃加工用役を提供される場合、簡易課税事業者からタクシー運送以外の運送用役を提供される場合、簡易課税事業者からリサイクル資源を供給される場合、航空法による商業書類の送達用役、不動産仲介業者に手数料を支給する場合、通信販売により財貨または用役を供給される場合など。

 

上記で調べた通り、形式的には適格証憑や送金明細書などで税法で認定する証憑を具備することができます。しかし実質課税の原則によって事業者は全ての取引において証憑と内部統制制度を構築し、該当の取引は当事業者に帰属させることが正当だということについて立証しなければならない責任があるということに留意しなければなりません。


 

<筆者紹介>

 

信和会計法人.

 

:2003年設立した信和会計法人は、韓国への進出を考えている日本の企業や既に進出している日系企業に法人設立の相談及び設立業務の代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス・会計監査、Due Diligenceサービスなどを提供しています。大型会計法人の日本事業部に勤めた経歴がある会計士を中心に設立され、長い間の経験とノーハウにより日本の顧客に良質のサービスを提供しています。



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