韓国の税務・会計資料

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January 19, 2018
by swacc

国別報告書

国別報告書

企画財政部は2017年3月21日、今年の税制改正で話題となった国別報告書(CbCR:Country by Country Reporting)に関連して「国別報告書提出義務者及び作成範囲に対する告示」を公表しました。

「国際租税調整に関する法律施行令」第21条の2の第1項第2号、「国際租税調整に関する法律施行規則」第6条の2の第4項による国別報告書の提出義務者及び作成の範囲などに対する詳細は次の通りです。

企画財政部は2016年の「国際租税調整に関する法律施行令」改正を通じ、OECDによる多国籍企業に対する税逃れ(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting、税源浸食と利益移転)を防止するプロジェクトの行動計画13(Action13:移転価格の文書化)である国別報告書の提出を義務づけています。また、国別報告書の提出義務者及び作成範囲に関しては、企画財政部長官が告示を通じ定めるよう委任されたことを受け、委任された内容を盛り込んだ「国別報告書提出義務者及び作成範囲に対する告示」を制定、公表しました。

これによりますと、国別報告書の提出義務者が12月決算法人である場合、2016年事業年度分に対し2017年6月30日まで国別報告書における提出義務者の関連資料を提出し、2018年1月2日までは国別報告書を提出しなければなりません。

国別報告書の告示で使われた用語の定義は下記の通りです。


用 語


定    義


グループ


所有権または支配力を通じ構成された企業の集団で、国際会計基準等会計原則に従って財務報告を行うため連結財務諸表を作成したり、証券取引所において該当企業の持ち分の取引が行われるため連結財務諸表を作成する集団を指します。


多国籍企業グループ


構成会社が二つ以上の租税管轄地域で課税対象となる事業を行うグループを指します。


構成会社


多国籍企業グループを構成する次の各項目の個別会社等を指します。

イ. 多国籍企業グループの連結財務諸表に含まれる個別企業

ロ. 多国籍企業グループ内の支配企業に従属されるものの規模の重要性を理由としてイ項目による連結財務諸表から除外された個別企業

ハ. イ項目またはロ項目による個別企業の固定事業場として別途の財務諸表を作成する該当固定事業場


最終親会社


多国籍企業グループに属する会社で一つ以上の構成会社に対し、直接または間接的に支配力を持ち、関連会計基準に従って財務報告を行うため連結財務諸表を作成する最上位の支配企業を指します。


連結財務諸表


最終親会社と構成会社を単一の事業体としてみなし資産、負債、収益、費用、キャッシュフローを一つで示す多国籍企業グループの財務諸表を意味します。

国別報告書の提出義務者は、最終親会社が内国法人ㆍ居住者である場合と外国法人ㆍ非居住者である場合に分けられます。

最終親会社が内国法人ㆍ居住者である場合は、直前会計年度の連結売上高が1兆ウォンを超える多国籍企業グループの最上位の連結財務諸表を作成する国内の支配企業が提出義務者となります。

一方、最終親会社が外国法人ㆍ非居住者である場合は、直前会計年度の連結売上高が7億5千万ユーロ(相当額)を超える多国籍企業グループの韓国内構成会社で、下記に該当する場合は提出義務者となります。

 

① 最終親会社が所在する国の法令上国別報告書の提出義務がない場合

 

② 最終親会社が所在する国と韓国間で国別報告書の交換が行われない場合

 

また、国別報告書の提出義務者が関連資料を提出期限内に提出した場合、下記に該当する場合は国別報告書の提出義務から除外されます。

 

① 同一の多国籍企業グループに属する韓国内の別の構成会社が国別報告書を代表として提出する場合

 

② 最終親会社が第3国に所在する構成会社に国別報告書を代理提出させ、該当所在地国と韓国間で国別報告書が正常に交換される場合

最後に、国別報告書の提出義務者は所属している多国籍企業グループの構成会社に対しても国別報告書を作成しなければなりません。

以上は改正税法で触れられている内容ですが、今年から新規適用される法令であるため該当事項がある場合は関連資料を準備するのに多少時間がかかると思います。特に、親会社が外国法人である場合は法令の適用要件に当たるがどうかをあらかじめ確認したうえで、書類に不備のないよう準備に万全を期することが求められます。

<筆者紹介>

 

信和会計法人は、2003年に設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談および設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日本企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。

今回の担当: 張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。1963年生まれ。サンダーバード(Thunderbird)経営大学院でMBA取得。1989年~2003年に英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。1994年~1995年に日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/ E-mail: tichang@swacc.com)



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