韓国の税務・会計資料

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January 26, 2018
by swacc

非上場株式の譲渡・譲受における留意点

非上場株式の譲渡・受における留意点

 

上場株式の取引においては株式の譲渡所得税や証券取引税に対し注意することは特にありませんが、非上場株式の場合は異なります。非上場株式の譲渡譲受取引においては譲渡所得税、証券取引税、贈与税、取得税及び当該株式の時価評価に対し注意する必要があります。

 

非上場株式を渡する場合

 

まず第一に留意する点は非上場株式の譲渡価額の算定に関してです。譲渡所得税を払わないため、または詳しい情報がないため株式譲渡契約書に額面価額で買い取り譲渡したと記載し申告する場合がたびたびありますが、こうなると国税庁による書面調査の対象となる場合が多いので注意しなければなりません。

韓国の税法によると、他人から時価より低い価額で財産を譲り受ける場合は譲渡人による譲受人への財産贈与とみなす一方、他人に時価より高い価額で財産を譲渡する場合は譲受人による譲渡人への財産贈与とみなします。したがって、対価と時価の差額に相当する金額を贈与財産価額とみなし贈与税が課税されます。非上場株式は時価の算定が難しいため、相続税及び贈与税法の補充的な評価方法により評価した金額を時価とみなす場合がほとんどです。

 

また、非上場株式の譲渡により利益が発生した場合(譲渡益が発生した場合)、譲渡日が属する四半期の末日から2ヵ月以内に譲渡所得税を申告・納付しなければならず、税率は中小企業の大株主以外の者が中小企業の株式を譲渡した場合は10%、その他の場合は20%となります。なお、証券取引税も譲渡日が属する四半期の末日から2ヵ月以内に申告・納付しなければならず、税率は譲渡価額の0.5%となります。ここで証券取引税とは譲渡する人が払う税金を言います。

 

非上場株式の譲渡における最後の手続きとして法人税の税務調整の際、株式等変動状況明細書の作成・提出があります。株式の譲渡が行われたにも拘らず株式等変動状況明細書の未提出、提出漏れ、明確でないものを提出した場合、該当株式の額面金額の100分の2に相当する金額を加算税として納付することとなります。


非上場株式を譲り受ける場合

 

非上場株式を譲り受ける場合においても、上述した贈与擬制などを避けるためには譲受価額の算定に注意する必要がありますが、もう一つ注意すべきこととして寡占株主のみなし取得税があります。ここで寡占株主とは、株主1名と親族等特殊関係者が所有した株式数の合計が当該法人の総発行株式の50%を超過する者を言います。寡占株主に対しては、現行の地方税法では法人が所有した課税対象となる資産を間接的に取得したこととみなし、取得税が課税されます。したがって、寡占株主は取得税の課税対象となる資産価額に対する所得税のうち持分比率に当たる取得税を納付しなければなりません。

 

最後に、外国法人から韓国内の非上場株式を譲り受ける場合は、譲渡所得税の源泉徴収の対象となるかどうか確認する必要があります。まず当該外国法人の所在地国と韓国の間で租税条約が締結されているかどうかを確認したうえで、課税対象となるかを検討します。もし、租税条約と法人税法により両方とも課税対象となる場合は、株式譲渡人が法人税法で定める国外源泉所得に対する源泉徴収税率と租税条約で定める制限税率のうち低い税率で譲渡所得税を源泉徴収して納付しなければなりません。

 

<筆者紹介>

信和会計法人は、2003年に設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談および設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日本企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。

今回の担当: 張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。1963年生まれ。サンダーバード(Thunderbird)経営大学院でMBA取得。1989年~2003年に英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。1994年~1995年に日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)



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