韓国の税務・会計資料

韓国の税務・会計資料

  • > home - 韓国の税務・会計資料

February 07, 2019
by swacc

K-IFRS 1116(リース会計基準)の導入による影響

K-IFRS 1116(リース会計基準)の導入による影響

リース利用者の会計処理に大きい影響があるK-IFRS1116号が2019年1月1日から施行される。航空会社、海上運送会社、流通会社、デパート、銀行などの場合は航空機、船舶、営業場などの大規模営業資産を賃借して使う場合が多くて会計処理方法によって財務諸表に及ぼす影響が大きいと見込まれている。今までリース利用者の場合は運用リースと金融リースに区分して会計処理することが可能で、会計処理方法によって損益、負債比率、借入金依存度などが変わる。

しかし、K-IFRS1116号によるとリース利用者の場合には金融リース、運用リースを区分しなくて基礎資産の使用権を表す使用権資産とリース料支給義務を表すリース負債を認識しなければならない。但し、免除規定により短期リース(12ヶ月以下)及び小額リース(例、基礎資産$5,000以下)の場合はリース資産と負債を認識しなくてもいい。このようにリース利用者のリース資産、リース負債、損益が同じ方式で測定、開示されるので情報利用者は比較可能性がより高くなった財務情報を得られるようになった。しかし、情報提供者である企業の立場では財務諸表の表示方法の変動による影響を事前に調べる必要がある。

 

新しい基準の導入によって、その間は財務諸表上の資産負債から除外されて来た既存の運用リース契約の船舶、航空機、自動車などの資産と営業所、売り場などの賃借契約なども財務諸表上に資産、負債として計上されるようになった。貸借対照表にリース資産及びリース負債が新規計上されることにより、負債比率、借入金依存度などが上昇すると見込まれている。

 

損益計算書に及ぼす影響としては、既存費用の中でリース料(又は賃借料)が除外される代わりに減価償却費が費用に計上されるので全体営業費用は減って営業利益が増加すると見込まれている。減価償却方法によってはリース期間初期には営業費用が増加する可能性もある。今までは営業費用のリス料に含まれていたリース負債に対する利子費用が金融費用に計上されることにより金融費用は増加する結果になる。従って、運用リース契約を締結した企業の場合は会計処理変更によってEBITとEBITDAが上昇することが見込まれている。キャッシュフロー計算書では営業費用に反映されていたリース料が除外されることによって営業活動によるキャッシュフローは増加する半面、リース負債の償還により財務活動によるキャッシュフローは減少することになると見込まれている。

 

航空会社や海上運送会社、デパート、銀行などの場合はリース会計変更によって財務諸表に及ぼす影響が大きいと見込まれている。K-IFRS1116号の適用により企業安定性比率、収益性比率、負債比率などの評価指標が大きく変わる可能性があるが会計処理方法の変更により企業実質が変わるとは言えない。しかし、財務諸表への表示方法の変動により負債比率が増加して企業の金融機関接近性が変わる可能性があると思われる。特に社債などの外部資金を調達した会社の場合は資金調達時に負債比率などの一定の財務比率を遵守する義務がある会社が多いので各企業別にリース会計変更による効果を事前に検討する必要があると思われる。

 

<筆者紹介>

信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。

 

今回の担当:張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。1963年生まれ。サンダーバード(Thunderbird)経営大学院でMBA取得。1989年~2003年に英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。1994年~1995年に日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)



  • List