2024年税法改正案

 2024年7月25日、企画財政省が税法改正案を発表した。 改正内容を見ると、2025年1月から施行予定の金融投資所得税、すなわち証券市場で株式などの譲渡時に年間5,000万ウォン(約531万4,900円)を超過する譲渡差益に対しては所得税課税をするという、いわゆる金融投資所得税を廃止するという案件と相続税贈与税負担が過重な現実を反映して相続税贈与税負担を緩和する相続税改正案件は政界で与党と野党の意見が尖鋭に対立しており、通過可否が不明だが、その他の改正案は与野党の調整を経て改正されるものと予想される。 ここでは税法改正案で目立つ事項について簡単に調べることにする。

 まず、資本市場の活性化のために株主還元促進税制が新設された。 海外主要国と比較すると、韓国の株主還元率は29%水準で、米国の91%、先進国の平均67%に比べると非常に低い水準であり、新興国の平均である38%よりも低く、コリアディスカウントの主な原因と指摘されてきた。 これに対して政府は、税制インセンティブを通じて経営者と投資家の両方にインセンティブを与え、株主還元の拡大を誘導し、株主還元の拡大は株式保有収益率の上昇につながり、株式への資金流入と企業価値の上昇に寄与するものと期待している。 その税制インセンティブは株主還元を拡大する企業に対してはその拡大した金額に5%の金額を法人税税額控除をして法人にインセンティブを提供し、株主に対しては株主還元の拡大によって増加する配当所得に対しては9%の源泉徴収(2,000万ウォン限度)と25%分離課税のうち1つを選択できるようにして株主たちの個人所得税でインセンティブを提供している。 従来の配当所得増大税制とは違って、今回新設される株主還元促進税制は、配当所得を受け取る株主だけでなく、配当所得を増加させる企業にもインセンティブを提供するのに大きな差があると言える。

 また、少子化問題を解決するための税制が導入される。 まず、2024年から2026年まで婚姻届を出すことになれば、新郎新婦に50万ウォンずつの税額控除をする結婚税額控除が新設される。 企業が勤労者（親族である特殊関係者を除く）に支給した出産支援金に対しては、企業の費用として認め、勤労者本人には勤労所得全額非課税する出産支援金非課税制度が新設される。

 仮想通貨課税が2025年から施行される予定だったが、課税時期を2年猶予する案件も今回の改正案に含まれている。 おそらく金融投資所得税のように決定される可能性があると見られ、国会での決定を待たなければならない。.

 また、国際租税で主要イシューになっている居住者の範囲が調整される。 現行の居住者範囲は1課税期間(1月1日～12月31日)の間に183日以上居住した場合、居住者に該当するが、改正案によれば前年度から継続して居住した場合、継続して居住した期間も合算して前年度から継続して183日以上居所を置いた場合まで居住者と判定するように改正される。 国内に居住する外国人就業者の場合、所得税申告義務が拡大するので注意しなければならないと考えられる。

 以上、簡単に政府の税法改正案を検討したが、与野党の対立が激しい現状の中、どのような改正内容で法律が最終的に決議されるかは関心を持って見守らなければならない。


<筆者紹介>
信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。
今回の担当：張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人）にて勤務。日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)


<出典：NNA ASIA アジア経済ニュース、2024.9.13 https://www.nna.jp/>