韓国の税務・会計資料

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November 14, 2024
by swacc

持続可能性公示の義務化への対応


可能性公示の義務化への対応


 とりわけ暑かった今年の夏は、もう⼀度気候変動の危険性を実感させてくれる。⼆酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出が、このような異常気象の最⼤の原因だという。世界的にこのような気候危機に対処するためにRE 100(再⽣可能エネルギー100%使⽤)や持続可能性経営報告書公⽰制度などの多様な炭素低減のための⽅案を施⾏している。ここでは持続可能性公⽰制度と関連して簡単に調べることにする。


 IFRSの国際サステナビリティー基準審議会(ISSB)では2023 年6⽉に最初の公⽰基準書であるIFRS S1(⼀般要求事項)とIFRS S2(気候関連公⽰基準)を発表し、2024 年1⽉から施⾏することにした。気候関連公⽰のうち、炭素ガス排出量の公⽰は製品の⽣産過程で発⽣する企業の直接排出量(Scope1)、企業で使⽤する電気を⽣産する過程で出る間接排出量(Scope2)の情報公⽰までは2024 年から施⾏するが、原材料の供給および消費過程などの供給網全般で発⽣する間接排出量(Scope3)の公⽰は1年猶予をするようにしている。


 欧州連合(EU)では、企業サステナビリティー報告指令(CSRD)を制定して施⾏しており、適⽤対象企業も段階的に拡⼤するなど、持続可能性に関する公⽰制度を強化している。EUでは2024 年からEU上場企業を⽪切りに2025 年に⼤企業などにその範囲を増やしていく予定だ。公⽰対象企業は2024 年からESG関連危険・機会要素、企業活動が環境と⼈間に及ぼす影響を公⽰基準に従って報告しなければならない。また、EU域内の年間純売り上げ1億5 , 000 万ユーロ(約2 , 100 億ウォン=約244 億8 , 900 万円)超過の非EU企業または年間純売り上げ4 , 000 万ユーロ(約570億ウォン)を超過し、EU⽀社・⼦会社を保有する非EU企業も2028 年からは該当公⽰基準に従って持続可能性公⽰を⾏わなければならない。


 ⽶国証券取引委員会(SEC)も2022 年気候関連公⽰草案を発表し、2024 年3⽉気候関連公⽰規則最終案を発表し、気候関連情報公⽰義務化を確定した。すなわち企業は事業報告書など公⽰資料に気候関連公⽰部門を分離し、気候変化リスクの戦略・事業モデル・展望に及ぼす影響、気候関連リスクに対する監督とガバナンス情報、温室効果ガス排出量情報などを公⽰するようにしている。当該規定は、⼤企業は2025 年から適⽤し、順次その範囲を拡⼤しようとしている。しかし、最近の⼀連の訴訟によって気候関連公⽰の導⼊がひとまず留保された状態だが、司法的な判断が終われば、すでに気候関連公⽰が義務付けられたEUのように再び施⾏する可能性が⾼いものと⾒られる。


 ⽇本もサステナビリティ―委員会(SSBJ)がISSBの公⽰基準に基づいて3⽉にESG公⽰基準草案を発表し、意⾒収斂(しゅうれん)段階に⼊った。同草案は、意⾒収集の段階を経て、来年3⽉までには確定するとし、2027 年度から時価総額3兆円の上場⼤⼿企業を対象に施⾏される予定だという。


 韓国も2024 年3⽉に持続可能性公⽰基準草案を発表し、意⾒収斂段階にある。当初、⾦融委員会は2025年から資産2兆ウォン以上の上場企業を対象に施⾏すると発表したが、企業の負担などを理由に施⾏を延期し、施⾏⽇程、対象などの具体的な推進計画はまだ発表されていない状態だ。


 気候関連公⽰は⼀国だけの問題ではなく、全世界的な問題だ。全世界を対象に事業を展開している企業は、⾃然に該当国家の公⽰基準(ISSB基盤の公⽰基準、⽶国SEC公⽰基準、欧州CSRD)に合わせて報告書を提出する義務が発⽣することになるだろう。韓国も後れを取ってはならないだろうが、あまり先に進む必要はないと思われる。⽶国の訴訟結果も考慮しなければならず、すでに施⾏しているEUの基準も順守しなければならず、Scope3の測定と関連して導出される合意も考慮しなければならないだろう。政府でも適切なペースを維持しなければならず、企業も近いうちに本格的に義務化される気候関連公⽰に備えてあらかじめ準備しなければならないだろう。


<筆者紹介>
信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。
今回の担当:張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)


<出典:NNA ASIA アジア経済ニュース、2024.10.11 https://www.nna.jp/>



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