韓国の税務・会計資料

韓国の税務・会計資料

  • > home - 韓国の税務・会計資料

March 04, 2025
by swacc

2024年主要税法改正内容


2024年主要法改正


 2024 年9月2日、政府が国会に提出した税法改正案が12 月10 日付で国会で議決された。所得税法、法人税法、国際租税調整に関する法律などは政府原案どおり可決され、付加価値税法、租税特例制限法は政府案を修正して可決され、国民の関心を集めた相続税緩和のための相続税および贈与税法改正案は否決された。今回改正された税法について簡単に見てみよう。


 まず、改正された所得税法を見ると、金融投資所得税(金投税)が廃止されたのが最も目につく。金投税は国内上場株式などの譲渡差益が5,000 万ウォン(約544 万円)以上の場合と海外株式などの場合には譲渡差益が250 万ウォン以上の場合、最低22%から最大27.5%の税金を負担させる課税制度であり、まず海外株式に対してはすでに施行されており、国内上場株式などに対しては25 年から施行される予定だった。金投税を負担する投資家は約15 万人水準で、全体投資家の1%水準だが、彼らが保有している株式は内国人上場株式の53%に達するという。彼らが国内投資から離脱する場合、全体の国内市場に影響を与え、多くの小額投資家が損害を被る可能性があり、多くの投資家が金投税を廃止しろという主張をした。これに対し国会では今回の税法改正時に廃止をすることになったのだ。金投税とともに25 年から施行される予定だった仮想資産課税は27 年にその施行時期が遅れた。仮想資産課税は、仮想資産所得が250 万ウォンを超過する場合、超過する金額の20%を課税する予定だったが、今回の猶予措置で施行が2年猶予された。


 次に法人税法の主要改正内容を見れば、不動産賃貸法人の場合、法人税率の最低区間を200 億ウォン以下にして規模が小さい不動産賃貸法人の場合にも少なくとも19%の法人税を賦課するように改正した。そして直前年度3億ウォン以上の寄付金を受け取った法人は、次の事業年度からは電子寄付金領収書の発給を義務付け、納税者の便宜を図った。


 租税特例制限法の主要改正内容を見れば、今回の政府で重点を置いて推進した株主還元促進税制の導入が全て削除され議決された。すなわち、上場法人が企業価値向上計画を公示し、配当や自社株消却などを通じた株主還元金額が直前3年平均対比5%以上増加した場合、法人とその法人の個人株主に対して税額控除、分離課税などの税法上の恩恵を付与する株主還元促進制度が全て削除された。次に、中小企業が売上高の増加などで中小企業に該当しなくなった場合にも、3年間は研究人材開発費に対する税額控除、統合投資税額控除などは他の中堅企業対比優待する税額控除制度を拡大適用するようにした。


 国際租税調整に関する法律の主要改正内容を見ると、次の通りである。まず、国外特殊関係人との国際取引で正常価格を基準に調整した課税標準および税額を更正請求する時には正常価格算出方法立証書類を提出するようにし、提出書類に漏れまたは不備事項がある場合には30 日範囲で補完要求ができるよう更正請求を合理化した。また、租税条約締約国間の相互主義に基づき、金融取引の自動情報交換を行う際、その範囲に仮想資産取引も含め、暗号化資産の自動情報交換の根拠を設けた。そして、海外金融口座申告義務が免除される在外国民基準を所得税法による居所基準に合わせて183 日以下から182 日以下に調整した。課税当局が居住者または内国法人に対して海外直接投資明細などの資料提出要求期限制限を削除した。納税者に負担が過重になる可能性もあるように見える改正で、今後議論になる可能性もありそうだ。そして、グローバル最低限税情報申告書の提出および追加税額配分額の申告は、事業年度終了日から15 カ月(初回適用年度は18カ月)となる日と26 年6月30 日のいずれか遅い日に提出期限が調整された。


 相続税および贈与税法は当初の改正案には現行最高税率50%を引き下げ、子供1人当り5,000 万ウォンの子供控除を引き上げ、筆頭株主などの保有株式割増評価を廃止するという相続税緩和内容が含まれていたが、改正案が全て否決され、当分は既存税法どおり相続税贈与税を負担することになった。


 以上が24 年12 月に改正された主要改正内容だ。このうち、金投税の廃止が国民の生活と関連して最も影響が大きいものとみられ、株式市場活性化のための株主還元促進制度と数十年前に制定され、物価引き上げ、所得水準増加などの理由で国民生活に負担となった相続税および贈与税の改正案は、国会で否決された。相続税や贈与税法の改正は、次に発足する政府が新たに推進しなければならないものとみられる。住宅を一軒保有している国民の相当数が相続税の心配をする税制は正常ではないものとみられる。


<筆者紹介>
信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。
今回の担当:張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)


<出典:NNA ASIA アジア経済ニュース、2025.1.9 https://www.nna.jp/>



  • List