韓国の税務・会計資料

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December 26, 2025
by swacc

上場企業の開示制度の改善



上場企業の開示制度の改善


 韓国金融当局と韓国取引所は、11 月に上場企業の英語による開示拡大および情報提供項目の拡充を柱とする企業開示制度の改善案を発表した。企業開示制度とは、上場企業に対し、証券の発行・流通などに関連して投資家の投資判断に必要な情報を公開させる制度であり、資本市場法に基づく法定開示と、韓国取引所の規定に基づく取引所開示に区分される。今回の開示制度の変更は、取引所の開示規定である「有価証券市場開示規定および施行細則」の改正によるものである。これまで韓国金融委員会、金融監督院、取引所は、企業情報に対する国内外の需要増加を反映し、企業開示制度を継続的に改善してきた。今回の開示制度の変更は、2024 年から施行された外国人投資家の資本市場へのアクセス性向上策に基づくもので、24~25 年は第1段階として、資産10 兆ウォン(約1兆円)以上の韓国有価証券市場(KOSPI市場)上場企業などに適用されてきた。第1段階の措置の内容は(1)決算関連事項(例:現金・現物配当の決定)(2)主要な意思決定事項(例:有償・無償増資の決定)(3)売買取引停止を伴う事項(例:株式の消却決定)が発生した場合、取引所に韓国語で開示した後、3日以内に英語開示もしなければならない制度であった。今回発表された開示拡大方策は第2段階の開示拡大方策であり、英語開示の対象企業の拡大および開示内容の全般的な拡大を含んでいる。


 まず、英文開示拡大の2段階の内容を見ると、次の通りだ。現行1段階の英文開示義務の対象企業は111社だが、2段階基準である資産2兆ウォン以上の全てのKOSPI上場企業に英文開示義務化を適用すれば、該当会社が265 社に大幅に増加する。また、第1段階では取引所が定めている55 の主要経営事項のうち、一部である◇支配構造・組織改編◇決算◇証券発行――などに関する事項など26 項目に対してのみ英文開示をするようにしているが、第2段階に入ると55 の主要経営事項を全て開示するようにし、株主総会の表決結果などの項目も追加で開示しなければならない。また、英文開示期限も短縮される。現行の1段階では、韓国語開示後3営業日以内に英文開示をするようになっているが、2段階では資産10 兆ウォン以上のKOSPI企業は韓国語開示当日に英文開示もするように期限が短縮された。以上が英文開示の拡大2段階案であり、当局の発表によると、3段階が施行される28 年からは、全てのKOSPI企業(848 社)や韓国新興市場(KOSDAQ市場)の大型上場会社に対して英文開示を拡大する。


 次に開示情報の拡大方策を見ると、次のようだ。現行の株主総会表決に対する開示は議案別可決可否・主要議論内容だけを開示(当日の随時開示と事業報告書などを通じた定期開示)し、賛成率など表決結果は開示していない。米国、日本など海外主要国は賛成株式数などの表決結果を開示していることに比べれば開示内容が不十分で株主総会の透明性が不足していると言える。これに対し改善案では議案別に賛成率、反対、棄権などの表決結果を当日に随時開示し定期報告書にも表決結果を開示するようにしている。また、上場企業の約90%が3月下旬に株主総会を開催しており、株主の権利行使に制約があり、株主総会開催時期の分散を誘導する。すなわち、定款を改正して3月ではなく4月に株主総会を開催するなどの場合、インセンティブを付与する案を制定して株主の意思決定参加を促進するようにしている。また、役員報酬に対する開示も強化した。すなわち、現在開示制度下では役員に付与した株式基準補償などは現行役員報酬とは別に開示され、ストックオプション以外の株式基準補償は役員個人別詳細付与現況が開示されていない。改善案によると、役員全体の報酬総額、個人別の報酬開示書式で株式基準補償を一緒に開示するようにし、最近3年間、株主総利回り(TSR)、営業利益などと役員全体の報酬総額を比較できるように表またはグラフなどで示し、役員に付与された報酬が適正かどうかを評価できるように改善した。


 最近の不確実な経済環境を考えるとこのような情報提供も重要だが、さらに重要なことは企業のグローバル競争力の強化だと言える。企業の競争力を強化する政策とともに上記の開示制度の改善策が実行されるとより多くの外国人投資家が国内証券市場に投資をすると予想される。


<筆者紹介>
信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。
今回の担当:張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)


<出典:NNA ASIA アジア経済ニュース、2025.12.11 https://www.nna.jp/>



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